子犬のお迎え
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子犬のお迎えと檻(ケージ)に閉じ込める恐怖

檻(ケージ)を経験した人間

大抵の人間は動物を檻に閉じ込めることを当然と思っている。
でも、檻を経験した人間がどれだけいるのだろう?

私は檻を知っている。
昼も夜も働き尽くめだった母は、まだ幼い、6つ歳の離れた妹たちと共に私を託児所に預けていました。
東京の椎名町駅にあったその託児所は、今もそのやり方で存在していたら、きっと虐待で訴えられていたでしょう。その託児所で私は…檻に閉じ込められていたのです。

託児所に預けるにはもう大きかった私は、座って頭を上げていることもできない小さな狭い檻に、四つん這いになって何時間も閉じ込められました。
預かっている間、ほんの少し遊び時間があるだけで、ほとんどの時間は檻の中。なにも飲めず、喉はカラカラ。
檻の中から床へ落としてしまったお気に入りのフィギュア。私のだと言えず、保母が拾って託児所の玩具箱へ持っていってしまった。子供心にたいへんショックだったのを覚えている。

私はこの託児所が嫌で仕方なく、恐怖でした。
大人になった今でも、この駅を思い出すと色がついていない。灰色に思い出されるのです。

その経験の影響でしょう。私は動物を閉じ込めるのには抵抗があり、動物園が嫌いです。子犬を展示販売するペットショップもダメ。
水族館は……あの綺麗なガラスに騙されなかなか気付けませんでしたが、水槽も所詮檻と同じだとわかって以来、行くことができません。
だから当然犬も閉じ込めて暮らすなんてできない。

でも…
まだ幼く、どんな悪戯をするかわからない子犬を目の届かない場所で自由にするのは危険です。
仕方ない。自分が寝る時と家事をしている間だけはケージに入ってもらおう。。
人間だって、ベビーは囲いのついたベッドで休ませるのだから。。

そこで用意したケージは二つ。
一つはリビングにトイレトレーニングを兼ねた小さなケージを。
寝室には大きな広々としたケージを置き、三辺をプラスチックダンボールで囲い、冷気を遮断。
そしてブリーダーの指導通り夜は毛布を掛け、朝まで静かに休ませました。

お迎え当日の子犬今回の二枚の写真は子犬をお迎えした当日の写真です。

着いた途端、閉じ込められて悲しいお顔。

そんな顔しないで。
君が辛いのはよくわかる。
でも、そのケージは君を守るもの。目を離した隙に、君が電気コードをかじったりしないようにするためのもの。
必要最低限でしか入れないから、どうか我慢してね。

…檻に閉じ込められた子犬と私、やっぱり子犬の方が辛かったのだろうか?
見ている私も相当辛く、できるだけ自由にしてあげたいと思うのでありました。


お迎え当日のお話は次回で…


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